50th Anniversary Message
人を繋ぎ、人を導くまちづくり
森 光輝(看護学部第1期生)
社会福祉法人七五三会・高齢者サービス課 課長
この度は、愛知医科大学創立50周年おめでとうございます。私は、2000年(平成12年)4月、愛知医科大学看護学部看護学科第1期生として入学しました。生まれ育った長崎を離れ、親もとを離れ始まった一人暮らしの生活は、とても刺激的で、たくさんの人との出会いは、私にとって「学び」であり、有意義な時間でした。
私は現在、東京都町田市にある七五三会(なごみかい)という社会福祉法人で働いています。介護保険を主体とする、特別養護老人ホームや通所介護、居宅介護支援等の他、保育園等を運営しており、そこで各セクションの動きを統括する立場にいます。
申請書類等の管理から人材育成、医療的な判断を含めたマネジメントに関連するアドバイスまで役割は多岐にわたります。その一方で、町田市の認知症施策にも法人職務として携わっています。市が掲げる「認知症とともに生きるまちづくり」を実現するため、その企画作成から実行までを担うわけなのですが、堅苦しくはしません。「認知症」という分野は、どこかネガティブで、無関心層も多く、それに伴う潜在化した差別や偏見の文化を目の当たりにします。ただ、そこに直球で立ち向かうのではなく「まちづくり」という観点から、様々なアイディアを打ち出していきます。言葉に語弊があるかもしれませんが、まちづくりは「おしゃれで、かっこよく」がポリシーです。そして、大切な二つのこと、それは「チームになること」と「認知症本人とともにやること」です。
手前味噌ながら私の代表作は「認知症カフェづくり(町田市ではDカフェと呼びます)」です。認知症本人やその家族、支援者、地域住民などが気軽に集まって交流や情報交換する場をいう「認知症カフェ」ですが、某有名コーヒーチェーン店らとチームとなり、コーヒー店に認知症カフェを設置することに成功しました。町田市と私とコーヒー店では、取り組む想いや考えは様々ですが、チームとなることで、そのベクトルは同じになります。他、様々な分野の方とチームを組むたび、新たな「学び」となり、私が考える「まちづくり」にアップデートされていきます。この感覚を心地よく思う根底は「看護観」なのかもしれません。
人が抱く願望を可能性の範囲である「希望」へと変えていく力が、人にはあると思います。これからも、大学での学びに感謝しながら、誇りをもって保健師だからできる「人を繋ぎ、人を導くまちづくり」を実践していきたいと思います。