50th Anniversary Message

私の看護の原点~創立50周年に寄せて~

髙橋 好江(看護学部第6期生)

東京大学大学院医学系研究科 看護管理学分野 特任研究員

私は2005年に「社会人等特別選抜」枠で看護学部に入学しました。もともと他大学の外国語学部で米国外交史などを専攻していたのですが、4年生の夏になっても就職活動をする気になれず、見かねた母親が看護学部の社会人等特別選抜入試のパンフレットを持ち帰ってきたのが受験のきっかけです。外国語学部を卒業した年の春、再び大学1年生として看護学部に入学することになりました。母親は看護師でしたが、私自身はそれまで看護師になろうと思ったこともなく、看護は未知の世界でした。

看護学部では、年下の同級生や、同じ社会人入学の仲間に刺激を受けながら、楽しく学びました。それまで文系畑を歩んできた私にとって、医学・看護学系の授業はとても新鮮に感じられました。看護の授業は単なる資格取得のためのものではなく、しっかりと看護の価値観を学生に伝えてくれるような内容でした。在学当時学部長でいらした髙橋照子先生は、「知性は感性を育てるのよ」と、看護学部開設に尽力された当時のエピソードをよく語ってくださいました。ケアを必要とするすべての人が看護の対象となること、ライフステージのあらゆる局面、多様な場に看護があること、病いとともに生きる人の暮らしを支えたり、人の強みを引き出し育てたりするのも看護であること、など、現在当たり前に認識している看護の基本的な考え方は、すべて看護学部で養われたものです。

卒業後は都内の急性期病院に入職しました。私の就職先の条件は、「看護部長が副院長を兼務していること」でした。現場の看護師の声が病院のトップマネジメントに反映されてこそ、よい医療を提供できるはずだと考えていたためです。病院時代の最初の3年半は内科系病棟で働き、その後、新規事業である附属クリニックの立ち上げメンバーとして外来へ異動し、そこで4年半勤めました。

聖路加国際病院時代 同僚と

病棟では仕事に全力投球できる人がロールモデルとされていましたが、外来では非常勤職員や子育て中の人も多く、仕事への向き合い方やモチベーションも様々でした。個人の事情に合わせて、必ずしも仕事の優先順位が高くなくてもやりがいを感じられ、組織としてよい看護・医療を提供できることが重要なのだと感じました。そのようなマネジメントについて深く考えるため、看護管理学を学べる大学院に進学し、今に至ります。

学位記授与式にて 家族と

愛知医科大学で学んだ看護の魅力や奥深さは、一般にはあまり知られていません。駆け出しの研究者ではありますが、私は私の研究活動を通して、看護のすばらしさを世間一般に広めていけたら、と考えています。

このたびは創立50周年まことにおめでとうございます。