50th Anniversary Message

卒前教育に携わることになって

早稲田 勝久(医学部第20期生)

愛知医科大学医学教育センター 教授

私は1972年生まれのため、自分の年齢=愛知医科大学の歴史となります。我々が学生の頃は、今とは異なり時間割にも余裕があり、少しお昼が長く取れそうであれば外食に行ったり、部活やアルバイトをしたりなど、特に低学年の頃は自由に過ごしていました。高学年では部活を通して他大学との交流を持つことを始め、その交流は今でも定期的な対抗戦として続いています。部活などを通して得られた先輩、後輩、同期との絆は、代えがたい宝であることは言うまでもありません。

卒業後は、社会保険中京病院で臨床研修を行い、研修修了後、母校の第3内科に入局しました。循環器内科は学生時代から興味があったので、卒後も迷わず循環器内科を専攻しました。入局後は、多くの良い仲間や指導医に恵まれました。中でも、私に海外留学という機会を与えてくれた尾﨑行男先生(前藤田医科大学循環器内科教授)、またそれを後押ししてくれた当時の虚血グループの先生方には感謝しか有りません。大学院生として尾﨑先生から臨床研究の基礎を指導して頂き、当時日本ではあまり行われていなかった冠動脈イメージングの解析をした経験が留学先では大いに活かされました。留学中の上司も仕事に対する姿勢は非常にプロフェッショナルな先生で、現在、自分が仕事をする上で影響を受けています。留学も数年経ち帰国するかどうかを検討していた際に、上司から「I need your help.」と言われ、もう少し残ることを決めました。別の上司からは、「これはあなたの実力を評価したコメントだから自信を持ってやりなさい」と言われ、どこの大学を卒業したかでは無く、今何をしているのか、何が出来るのか、が大事であることを改めて感じました。

留学時の上司と共に

帰国後、2017年からは、医学教育センターで卒前教育に携わることとなりました。教員として母校の学生教育に携わるのは、臨床とはまた違った面白さがあります。先日、医学教育センターの上司である伴信太郎先生より、教授室を片付けていたら出てきたという新聞記事を頂きました。1994年に新聞社が企画したフォーラムの記事で、伴先生の川崎医科大学での取り組みが紹介されているのですが、記事の端に私のコメントが紹介されています(20年以上前の記事から私を見つけ出したことがすごい)。卒前教育に携わることは全く想定外でしたが、この記事を渡されたとき、現在、自分が医学教育の分野で仕事をしていること、伴先生と一緒に仕事をしていること、、、不思議な縁を感じました。

アジアパシフィック医学教育学会にて

今の医学生を取り巻く環境は、昔とは大きく異なります。自分達の経験論では教えられないことが殆どです。母校の卒前教育に携わる機会を頂き非常に光栄であると共に、先輩方から受けたご指導を後輩達に伝える立場でもあります。愛知医大には愛知医大の良さがあり、この良さを引き継ぎながら、次の50年に繋がる世界で活躍する卒業生を輩出できればと思います。